A Certain smile,A certain sadness

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『吉本は辞めてもいいけど仕事は辞めるな!』

ナインティナインのオールナイトニッポン 2012年04月26日

 

岡村「もうね、Yahoo!ニュース等でご存知の方も沢山居られると思いますけれども、私も高倉健さんの映画『あなたへ』で12年、12年前に本当に、あのーアカデミー賞の時に、僕が『無問題』の話題賞の時に『鉄道員』で

 

矢部「そうやそうや」

 

岡村「そう。主演男優賞獲らはった時に、あれなのよ、あのー初めてお話させて頂いて、で向こうから、高倉健さんから声掛けてくれはったんですよ。あのー『いつも見てますよ』つって

 

矢部「うん」

 

岡村「『え!!』ってなって『ありがとうございます』って言うて、『いつか一緒にお仕事しましょうね』って、まぁ俺社交辞令やと思ってて、んで『あ、是非お願いします』って言うたら、『いや、これ冗談じゃなくてよ』って言うてくれはって、そっから12年経ったんですけど、その12年前の約束を果たしはるっていう所が凄いなぁと思って

 

矢部「凄いなぁ」

 

 

ナイナイのANN 2000年03月16日

岡村「皆さん、リスナーのお蔭でですね」

矢部「アカデミー賞話題賞、俳優部門と作品部門

岡村「作品賞、頂きましてですね。有難い事なんですけど、まぁオンエア、アカデミー賞観られた方は、ねぇ、居てたとは思うんですが、あれはやっぱ編集されてますから」

矢部「へっへっへっへ」

岡村「分からないと思うんですが、まぁー最初で最後ちゃうかな?」

矢部「そうやね」

岡村「チンピラ芸人が高倉健をイジったっていう、衝撃の瞬間でしたけれども

矢部「へっへっへ。凄い空気やからねぇ、日本アカデミー賞

岡村「あれオンエア観た方も多分ドキドキしたと思うんですが。んでああいう編集やと、やっぱり『高倉健キレてるやんけ』っていう風に、多分見えたと思うんですけど

矢部「見えたね。怒った顔が一瞬見えたりしたから

岡村「ところがどっこいそうじゃ無かった

矢部「そうそうそうそう」

岡村「ねぇ」

矢部「うん」

岡村「あの後高倉健さんが、俺が『高倉健さんみたいな俳優になりたいです』って言うた後、ちょっと俺空気感じて『ヤバいなー』思うて

ナイナイがインタビューされる模様と会場の様子が流れる

岡村「あのーとりあえずですね、拍手とか笑いとかいうのは全部一般のお客さんですからね、一般のお客さんが4万円出して参加してるんですよ」

矢部「そうそう」

岡村「そういう人達は笑ったりしてますけれども、まぁー他の役者の冷たい顔」

矢部「へへへへ」

岡村「引きまくりの顔やもんな?」

矢部「何やろうねんやろうね」

岡村「それ見てボーンってキレてもうたから。『何やねん!お前ら、そのスマシ顔は?』」

矢部「まぁ演じてんのかなぁ?」

岡村「『もう何かええわ』と思うてな。俺も一応『しまったな』って感じはしたのよ。『エライ事言うてもうたなぁ』って思ったけど、その後高倉健さんがウワーッて立ってやな

矢部「立ってねぇ

岡村「一人で拍手してはんの、こっちに

矢部「うん」

岡村「それはオンエア無かったんですけれども。『わ!これOKなんや。でもこれ逆ギレしてはんのかなぁ?』っていう風にも思ったのよ」

矢部「へへへへ。一周した拍手ね」

岡村「うん。でもそうじゃ無くって。ほんでとりあえずもう空気も悪いしパッと言うて帰ろうと思って。で最後受賞者のこう

矢部「記念撮影

岡村「記念撮影する所があって、『賞獲った方は記念撮影あります』言うて『そこに集まって下さい』って言うから『嫌やなぁ』と思って行こうとしたら、壇上のとこから『岡村さん!』って聞えんねん

矢部「うん」

岡村「『誰やろう?』と思ってパッと顔あげたら高倉健

矢部「うん」

岡村「高倉健から手だしたね、俺に

矢部「へっへっへっへ」

岡村「ほんで『岡村さん』って

矢部「『さん』付けしてはった、高倉健さん

岡村「ほんで高倉健が握手を求めて来たね、向こうから

矢部「うん。凄かったな」

岡村「ほんで握手バーッてして。『先ほどはすいませんでした』って言うたら(高倉健の声マネで)『いや全然、全然』

矢部「ホンマにこんな声やねん」

岡村「なぁ?」

矢部「めっちゃハスキーで、あのままやなぁ」

岡村「でねぇ、ここからは何処でも喋ってないんですけれども『実はねぇ、志村けんさんとナイナイさんは大好きなんです』

矢部「これホンマやねん

岡村「高倉健がよ!

矢部「これ堪らんね

岡村「『ほんなら何でスマスマ出てん?』って俺はちょっと思たけど」

矢部「へへへへ。まぁ色々あったんでしょう」

岡村「うん。ほんで『うわーそうなんですか。ありがとうございます』って、『ありがとうございます』しか言われへん。なぁ?

矢部「やっぱり、オーラは出てるからね。高倉健って

岡村「オーラ出てた、凄かった。ほんで写真撮影してな、その後も、またな、全部終わってからまた握手してくれはってやな。んで『マラソンは本当に走ったんですか?』って聞かれて

矢部「年末のね」

岡村「めちゃイケ観てるやん!』と思って。『走りました!』って言うたら『偉いねぇ』

矢部「へへへへへへへへ。まぁ多分ビデオで観てはったんでしょうけど、あれ生で観てたら面白いなぁ、高倉健が(笑)

岡村「眠い目擦りながら観てはったんかなぁ?

矢部「大晦日生で観てくれてたら、ちょっと堪らんなぁ

岡村「そうやって俺等が握手してるのを見てる周りの関係者、オモロかったでぇ、『何でこんな人と握手してるの?高倉さん』みたいな」

矢部「ビックリしてた」

岡村「なぁ?顔して、でも『まぁええわ、向こうから握手求めてんねんし』と思って。この後、この後凄い事言うたよ、高倉健がな

矢部「うん」

岡村「『今度また、何かでお仕事一緒にしたいですね』

矢部「言いはった」

岡村「あるよ」

矢部「オファーがあってんね、高倉健からね

岡村「『鉄道員2』俺等出るかも。志村さんは高倉健さんが『是非出て欲しい』って言うて、高倉健さんの指名やってん。だから俺等も『鉄道員2』出るかもしらん

矢部「凄いサラッとした気の効かせ方して、ちゃんと僕にも握手してくれるんですよ

岡村「凄いよその辺は」

矢部「僕にもちゃんと喋りかけてるんですよ。『ナイナイさん』として

岡村「そう」

矢部「『ああ、これ偉いわ。こんなスターやのに』」

岡村「あれは嬉しかったなぁ。唯一やったもん、アカデミー賞行って良かったなぁと思ったの」

 

岡村「絶対、あのー、なんちゅうの、高倉健さんが名前出してくれはらへんかったら、多分出れてないんですよ。錚々たる、たけしさんやとか草彅君やとか、ね、沢山の方が出てるなかで、もうとにかく、こう、台本一発目、まだ決定稿じゃないんですけど、高倉健さんの映画ってなった時にもう『出る!』って言うて」

 

矢部「うん」

 

岡村「まだ何役かも分からんやったけど、もう『出る!』って言うて。んだら阪神タイガースの優勝した、20何年振りかに優勝した時の、色んな所周りはんのよ、高倉健さんが、こう日本全国を。それの大阪に来た時に、丁度阪神タイガースが優勝した時の居酒屋でっていうシーンなんです」

 

矢部「うん」

 

岡村「だから俺台本読んですぐ、これ六甲おろし歌わなあかんから、すぐへびいちごの高橋に電話して、アイツ阪神タイガースファンやから『六甲おろしってなんか独特な歌い方あるんか?』つって。『いや、別にないで』」

 

矢部「ふふふふふ」

 

岡村「『普通に歌うたらええんか?』つったら『普通に歌うたらええで』って。『メガホンとかこう叩いたりするんか?』って言うたら『叩いたりするな』って。『どうやって叩くねん?』つって。全部、俺なりの役作り、が始まった訳よ」

 

矢部「ふふふふふ。おー!」

 

岡村「ほんでまぁ、あれよ、東宝スタジオなんですよ。んでスタジオ行って、でも健さんって1時間前位に現場入るとか、誰よりも早く入るって言うのを聞いたからやねぇ、『何時に入ったらええねやろ?』と思って。でも結構早目に入って、早目に入ったけど、もう間一髪や、俺の方がちょっと早かった位。楽屋入って、入ったらすぐ高倉健さん入って、楽屋に来てくれはったんですよ、楽屋に。『岡村君!いいね!』つって

 

矢部「はっはっはっはっは」

 

岡村「『いいね~!』つって。楽屋でちょっと、いきなりファーッと肩組んでくれはってやね

 

矢部「凄いな(笑)」

 

岡村「『いいんだぞ、別に吉本なんか辞めても!辞めろ!辞めろ!』つって

 

矢部「いきなり?」

 

岡村「うん。『なぁ?』って言って東宝の凄いエライさん見て『なぁ?別に吉本なんか辞めてもいいよなぁ?』つって。ふふふ。大谷とかタジタジ

 

矢部「はっはっはっはっはっは」

 

岡村「僕もすぐ『辞めます!』って言うたから。ふふふふ

 

矢部「はっはっはっはっはっはっは」

 

岡村「『会社の言う事なんか聞く必要ないだぞ』って

 

矢部「はっはっはっはっは。凄いな、12年振りの会話で(笑)いきなりなぁ?」

 

岡村「だから、そんなにさぁ、初めてアカデミー賞でお会いした時なんて殆ど顔も見れ無かったし、お喋りもままならなかったんですけど、こうやってちゃんとお仕事するってなった時、全然違う高倉健さんやったわ。お電話でお話することはあったんです、12年間の間で。お手紙貰ったりだとかすることはあったんですけど、こう一緒にお仕事する事は『まぁ無いのかなぁ』って思ってましたけど

 

矢部「普通やと無いよねぇ」

 

岡村「でも勿論やっぱり、KEN TAKAKURAですから、もうメイクもハリウッドスタイルです。こんなパフとか使わないです、エアブラシ。シーっと」

 

矢部「えーーーー」

 

岡村「初めて使いました、メイクで」

 

矢部「俺見た事ないわ」

 

岡村「メイク室行ったら塗るんちゃうねん、エアーブラシや。シャーって、ドウランみたいなやつ。『ウワッ!』って言うて。見てん、なんかスカパーで」

 

矢部「うん」

 

岡村「スカパーのやつで。『あれ?これハリウッドが開発したっていうメイクのやつですよね?』って言うたら『そうですよ』って普通にシャーって顔やって貰って」

 

矢部「ふーーーーーん」

 

岡村「ほんで色んな高倉健伝説あるじゃないですか?撮影現場では一切椅子に座らへんとか。ホンマに座りはらへん、ずっと立ってはった

 

矢部「ホンマに立ってはんねや」

 

岡村「それやのにまた大谷とか外に出てドーン座ってタバコ吸ってて、『立て!』って言うて」

 

矢部「へっへっへっへっへ」

 

岡村「『座れへんねん!高倉健さんは現場では座れへんねん!』って言うたら『え?ホンマですか!ヘイ!すいません』」

 

矢部「へっへっへ。『ヘイ!』(笑)」

 

岡村「ふふふ。でも座れはれへんかったやろ?ずっと、なぁ?スタッフの方と談笑しながら、ずっと立ってはったやろ?座れへんのよ。凄いねんて、ホンマに」

 

矢部「だからやっぱ緊張感出るよね、スタッフも演者も」

 

岡村「もう、なんか、なんやろ、凄かったわ。んでもう、1日に1シーン位しか撮りはらへんねんな?」

 

矢部「それもホンマなんや」

 

岡村「ホンマ。ほんでパーッと来て、俺のシーンしか撮れへんかったもんな?阪神タイガースの居酒屋のシーンしか撮れへんかった」

 

矢部「ふーーん」

 

岡村「『お疲れ様でした』って言うて。もう凄かったよ。ずっと肩組んでくれてはった、何でか知らんけど

 

矢部「へっへっへっへっへっへっへっへ」

 

岡村「『めっちゃ可愛がって貰ってるな』と思って(笑)

 

矢部「はっはっはっはっはっはっはっは」

 

岡村「行く時も、控室からスタジオ行く時もずっと肩組んで

 

矢部「ええなぁ」

 

岡村「うん。その時も『辞めるなよ!』って言うて

 

矢部「ああ」

 

岡村「『お仕事は辞めるな!辞めたらもう終わりだから』って言うて。『吉本は辞めてもいいけど仕事は辞めるな!』っちゅうて。それをずっと言うてくれてはって。もうホンマあっという間やったけどな、あっという間やったけど、ホンマに何か夢の様な時間やったなぁ。そん時も俺、これは撮影秘話やけど、その時も頭にお粉

 

矢部「はっはっはっはっはっはっは」

 

岡村「最初ちょっと後、後姿から入るから、健さんと田中裕子さんの二人のシーンで後ろ向いてるから、こう、居酒屋さんのテレビを観てるシーンやから、丁度一番薄い所が映ってしまうのよ

 

矢部「てっぺんな

 

岡村「やっぱ健さんの芝居見て欲しいから、俺の、やっぱこの後頭部の薄さだけが目立つとあかんから

 

矢部「あっはっはっはっはっはっはっは」

 

岡村「そこはメイクさんの粋な計らいや!サッサっと、リハ終わった瞬間に、あのー外で粉塗ってくれはった

 

矢部「それはもう『塗りますよ』とは言わへんの?

 

岡村「それはもう阿吽の呼吸というか

 

矢部「使う所違う(笑)阿吽の呼吸の使い方が違う(笑)」

 

岡村「全然お仕事した事あるメイクさんやったし、全然知ってる、何でお仕事したんやったかな?『少林少女』やったかな?」

 

矢部「『少林少女』では、もうお粉あったもんね?」

 

岡村「『少林少女』で初めてのお粉体験したから

 

矢部「あ!そうか!『お粉要るな』って」

 

岡村「もうその辺は分かってくれてはるよね。やっぱり映画ってプロフェッショナルな集団やから、『岡村さんにはお粉』っていうのは、これメイクさんの中では常識になってるから、ムービースターやる時は。

 

矢部「へっへっへっへっへ」

 

岡村「『ムービースター岡村隆史にはお粉』って言うのがこれ必需品になってるから、そこは阿吽の呼吸でサッサッサと。『ふりますよ?』とかも無い、別に

 

矢部「はっはっはっはっはっはっは」

 

岡村「サッサッサと」

 

矢部「だから他の人も分からん感じや?」

 

岡村「分からへんよ」

 

矢部「塗ってるのも?」

 

岡村「全然。俺は『塗ってくれ!』とも言わないし、『塗りますね?』とか『ふりますね?』とかいう会話は無い。それがプロフェッショナルだから、お互い。阿吽の呼吸でサッサッサ、パッパッパ、ファッファッファ

 

矢部「はっはっはっはっはっはっはっは」

 

岡村「なんですか?エアーブラシは顔」

 

矢部「髪の毛は無いねや?」

 

岡村「髪の毛はリアルじゃないねん、エアーブラシで塗ってしまうと」

 

矢部「やっぱお粉なんや」

 

岡村「やっぱ昔ながらの、そこはお粉が一番、やっぱり映画という銀幕の世界では、スクリーンではやっぱりお粉が一番の、こう何て言うのかなぁ、一番良いっていうのは分かってんのよ、映画の世界では」

 

矢部「銀幕では(笑)」

 

岡村「銀幕の世界ではそんなの当り前のことやねん」

 

矢部「へっへっへっへっへ」

 

岡村「でお粉塗って。でも、凄く、何て言うのかな、NGもそんな無かったし、でも高倉健さんが現場でどんな事話して、監督さんとどんな事言うのかな?って言うのが凄い気になってて、でも凄かったよね、監督さんとかも。『監督!』って言わはるし、『監督、ここは声が大きいから俺も大きい声出したほうがいいのか?もうちょっと押さえた方がいいのか?』とかそういうディスカッションしながら作って行きはる、シーン。何でか分からへんけど、終わってからもちょっと『メイキングです』ってカメラ回してたら、高倉健さんが被って来てはった帽子を俺にくれたのよ

 

矢部「へぇーーーーー。プレゼント?」

 

岡村「宝物もんや。飾ってある」

 

矢部「『やるよ』って?」

 

岡村「うん。『やるよ』じゃなくて『忘れもんだぞ』みたいな感じで、自分が被ってた帽子をバサッと被せてくれはった

 

矢部「バレてたんちゃう?健さんに。粉掛けられてたの。『カッコ悪いぞ』って

 

岡村「それもある、粋やなぁ

 

矢部「粋やなぁ(笑)言わへんねんもん(笑)」

 

岡村「カッコええなぁ」

 

矢部「『お前のだろ?この帽子』(笑)」

 

岡村「俺あの人神様やと思う、カッコ良すぎてホンマ